賃貸物件を相続した際の手続き方法、流れや注意点を紹介します。
賃貸物件の相続は収益を伴うケースが多く、相続人の決定が重要です。物件を誰が相続するのかを決める遺産相続協議をしておきましょう。
今回は賃貸物件を相続した場合の流れを紹介します。また注意点として共有名義で相続した際にトラブルになるケースを多く取り入れました。
賃貸物件を相続する|流れ
賃貸物件を相続する流れは以下のとおりです。
- 債務等が残っているか把握する(確認する)
- 賃貸物件の状態を確認する
- 火災保険などの状態を確認する
- 相続人を決める
- 相続登記する
- 保険会社・管理会社などの状況を確認する(変更する)
それぞれ説明します。
債務等が残っているか把握する(確認する)
相続した賃貸物件に債務等が残っているか確認します。賃貸物件の費用を現金一括で支払っている人は少ないからです。
相続人は賃貸物件と同時に債務も相続します。そのため、借入先の金融機関や毎月の支払額を把握することが必要です。
賃貸物件の状態を確認する
賃貸物件の修繕や管理状況を確認する必要があります。古い建物の場合、耐震工事が必要になったり修繕が必要な場合があります。
管理会社への委託状況、修繕積立金の有無などを確認しましょう。
管理会社へ委託していれば、管理会社へ問い合わせることで把握できるでしょう。修繕する必要がある場合、修繕積立金の不足部分を検討する必要もあります。
また空き室が多い賃貸物件を相続した場合の対策は、以下の記事に記載しています。
【賃貸マンション】相続した賃貸マンション|空き部屋をなくす方法
火災保険などの状態を確認する
相続した賃貸物件の火災保険などの状態を確認します。一般的に賃貸物件を所有すると、火災保険に加入していることが多いからです。
賃貸物件の名義変更をするのと同じように、火災保険の名義も変更する必要があります。
相続人を決める
賃貸物件を相続する人を決めます。相続人全員で遺産分割協議をおこない、相続人を決定することになります。
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。遺言書がある場合は、遺言書に従うことが多いでしょう。
相続登記する
賃貸物件の相続人が決定すると、相続登記をします。所定の法務局で手続きし、名義変更もおこないましょう。
相続登記に関する手続き、必要書類は以下の記事で紹介しています。
保険会社・管理会社などの状況を確認する(変更する)
賃貸物件の相続人は、保険会社や管理会社などの契約を変更する手続きをします。相続人が決定する前に把握している状況があるため、契約内容に変更がなければ名義変更します。
一般的に相続した際の契約内容を変更せずに、そのまま継続することが多いようです。しかし改めて契約内容を確認し、相続人が納得できる内容に変更しましょう。
賃貸物件を相続する|注意点
賃貸物件を相続する際の注意点を紹介します。
- 相続税は資産全体に課税される
- 居住用と賃貸の評価額は異なる
- 共有名義はトラブルが多い
- 相続人はローンを支払う必要がある
賃貸物件を相続した場合に多いものです。それぞれ説明します。
相続税は資産全体に課税される
相続税は、相続した賃貸物件以外の資産も課税対象です。賃貸物件だけに課税されるものではないため、相続する資産をしっかり把握する必要があります。
財産だけでなく負債も相続する点に注意が必要です。
居住用と賃貸の評価額は異なる
不動産の評価額を算出する際、住居用物件と賃貸物件の評価額は異なります。主に以下の2つの評価額について知っておきましょう。
- 相続税評価額
- 固定資産税評価額
相続税評価額は、相続税を算出するために用いられる評価額です。固定資産税評価額は、固定資産税を算出するために用いられます。
賃貸物件の評価額の計算方法は以下のとおりです。
賃貸物件の相続税評価額=自用建物評価額ー(自用建物評価額×借家権割合)
詳しく評価額を算出するには専門家へ相談するのが一般的です。
共有名義はトラブルが多い
賃貸物件の相続人を1人に決定せず、法定相続人で分割して相続することがあります。共有名義での相続ということになり、話し合いなどにより収入・支出などの分割方法を決定します。
例えば建物の修繕に必要な資金が足りない場合、全員で補填することがあるでしょう。しかし支出を控えたい人がいる場合には、思うように話し合いが進まないことがあります。
さらに共有所有している相続人のうち誰かが死亡すると、誰が相続人になっているかわからなくなることもあります。
相続人はローンを支払う必要がある
相続した賃貸物件に残っているローンを支払うのは、相続人です。前述のとおり、相続するのは負債も同様だからです。
相続人が1人であればローンを支払う人は明確です。しかし共有名義で賃貸物件を所有する場合、誰がローンを支払うかでトラブルになるケースもあります。
賃貸物件を相続する|税務申告
賃貸物件を相続した際、必要になる税務申告は以下のとおりです。
- 相続税の申告
- 準確定申告
- 毎年の確定申告
それぞれ簡単に説明します。
相続税の申告
賃貸物件を相続したら、相続税の申告をします。相続税には基礎控除額がありますので、計算式を知っておきましょう。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
つまり少なくとも3,600万円は基礎控除されるため、居住用物件なら相続税が必要ないケースもあります。しかし賃貸物件の場合には、基礎控除額を超える可能性が高いでしょう。
相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内におこなわなければいけません。専門家に相談し、早期に申告することをおすすめします。
準確定申告
賃貸物件から収入を得ていた人が亡くなると、所得税の準確定申告が必要です。
準確定申告とは、亡くなった人の確定申告のことをいいます。通常の確定申告とは期間が異なり「相続の開始があったことを知った翌日から4ヶ月以内」とされています。
毎年の確定申告
賃貸物件を相続すると、毎年の確定申告が必要になります。相続人が収入を得る場合が多く、収支についての確定申告をしまうs.
賃貸物件の相続を共有名義でおこなうと、確定申告を誰がおこなうかでトラブルになるケースもあります。専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
賃貸物件の相続は、収入を伴うケースが多いものです。相続人の決定をおこない、誰が相続するかを明確にすることが大切です。
共有名義で相続することは可能ですが、トラブルになるケースが少なくありません。遺産分割協議や遺言の有無を把握し、賃貸物件経営を維持するか検討してください。
専門家の手助けが必要な場合は、ご相談ください。