賃貸物件での迷惑行為と契約解除の最新事例:信頼関係破壊の法理が適用されるケースとは?

https://www.kobebaikyaku.jp/wp-content/uploads/2021/06/koimizu-300x300.jpg
店長恋水

こんにちは。KOBE売却&買取ナビ店長の恋水です。賃貸物件における借主の迷惑行為が引き起こすトラブルは、他の入居者に大きな影響を及ぼし、賃貸人にとって深刻な問題となります。本記事では、賃借人の迷惑行為に対して賃貸人が無催告解除を行い、建物明渡し訴訟に発展した事例を解説します。契約解除においては、借主との「信頼関係の破壊」が適用のポイントとなりますが、その詳細な要件についてもお伝えします。

1. 賃貸物件における信頼関係破壊と無催告解除とは?

賃貸借契約における「信頼関係の破壊」とは、賃貸人と賃借人の間で信頼関係が著しく損なわれた場合に適用される法理です。これは、通常の契約解除手続きに加え、契約約款に基づいた無催告解除が認められるため、賃貸人にとって迅速な問題解決が期待できます。特に、他の居住者に深刻な影響を与える迷惑行為や、近隣トラブルが発生する場合には、無催告解除が適用されることが多くなります。

2. 迷惑行為事例:入居2ヶ月後から始まったトラブル

令和元年5月に入居した賃借人が、入居から2ヶ月も経たない7月初めから、周辺の住人に対する度重なる迷惑行為を繰り返していました。賃貸人である原告は、その結果として他の部屋が空室になるなどの損害を被り、最終的に契約解除と明渡し訴訟を決断しました。以下は、この事例における迷惑行為の詳細と、裁判所の判断です。

2-1. 主な迷惑行為とその内容

賃借人による迷惑行為は次の通りです。

  • 他の居住者宅を無断で訪問し、インターホンを鳴らす行為
  • 夜中や明け方に玄関ドアを叩き、不安を煽る行為
  • 玄関ドアを無断で開けるなどのプライバシー侵害行為

このような行為により、他の入居者の生活環境が著しく損なわれ、最終的には全居住者が退去するに至ったため、賃貸人と賃借人の信頼関係は完全に破壊される結果となりました。

2-2. 裁判所による無催告解除の適用

賃貸人は賃借人に対して複数回の注意を行い、改善の機会を与えましたが、行為は続きました。そのため、賃貸人は令和元年12月に無催告解除を通告しました。その後の訴訟で裁判所は、賃貸人による契約解除の主張を全面的に認め、賃借人に対する明渡し判決が下されました。この判決では、契約約款に基づく無催告解除が適用され、賃借人の行為が契約解除に値する重大な違反と判断されました。

3. 訴訟を通じて証明すべきポイントと証拠収集

賃貸借契約解除の訴訟では、以下の3つのポイントが重要です。

  1. 迷惑行為の頻度と期間:行為の頻度が多く、長期にわたって行われていた場合、解除の根拠が強化されます。
  2. 影響の具体性:行為が他の入居者や周辺環境にどのような悪影響を与えたかを具体的に立証することが重要です。
  3. 賃貸人の対応:賃貸人が行った注意や改善の要請の詳細な記録が求められます。

本件では、賃貸会社の従業員が作成した「時系列」と「クレーム管理」に基づく証拠が裁判所に提出され、信頼できる内容であると判断されました。このような証拠が揃っていたことが、裁判所の判断に寄与しました。

4. 契約解除における注意点とタイミングの重要性

賃貸人としては、迷惑行為が発生した際にすぐに契約解除するのではなく、初期対応として適切な注意や改善要請を行うことが重要です。しかし、長期にわたる迷惑行為や改善が見られない場合には、無催告解除も視野に入れた対応が必要です。タイミングが遅れると、他の入居者にも悪影響が広がり、最悪の場合、退去者が増える事態となります。

このため、日常のトラブル対応から契約解除までの流れを以下のように行うのが適切です。

  1. 迷惑行為の発生:行為を把握したらすぐに詳細な事実確認を行います。
  2. 初期の注意と説得:賃借人に対して丁寧に注意を行い、改善の機会を与えます。
  3. 記録の作成:迷惑行為が続く場合は、その都度の行動を記録し、証拠として残します。
  4. 契約解除通告:改善が見られない場合には、内容証明郵便により契約解除を通告します。
  5. 訴訟手続き:解除に応じず退去しない場合、最終手段として明渡し訴訟を提起します。

5. 裁判における信頼関係の破壊が認められる要件とは?

契約解除において裁判所が信頼関係の破壊を認めるかどうかは、賃借人の行為が賃貸人との信頼関係を根本的に損なうものであるかが問われます。今回の事例では、以下の要件が信頼関係の破壊を立証する要素となりました。

  • 行為の重大さ:他の入居者に不安を与え、退去者を出すほどの迷惑行為であること。
  • 注意無視:賃貸人からの複数回の注意にもかかわらず、行為を改めなかった点。
  • 物件管理における影響:他の入居者が全員退去するなど、物件全体に悪影響を及ぼしたこと。

このように、契約解除の可否は裁判官の判断に委ねられますが、近年の裁判例を参考に、ケースに応じた対応が求められます。

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。

6. 迷惑行為の立証と契約解除に関する実務的ポイント

迷惑行為による契約解除を確実にするためには、次のポイントを押さえた対応が大切です。

  • 証拠の積み重ね:事実関係や迷惑行為の詳細を確実に記録し、証拠を集めておくこと。
  • 無催告解除条項の確認:契約書の無催告解除条項を理解し、適切に適用する準備をしておくこと。
  • 法的支援の活用:トラブルが長期化し、訴訟の可能性が高まった場合、弁護士などの専門家に相談することが重要です。

7. まとめ:入居者トラブルに対する対応と契約解除のポイント

賃貸物件の経営においては、入居者による迷惑行為の発生は避けられないリスクの一つですが、迅速で適切な対応が求められます。トラブル発生時には冷静な対応と証拠収集をしておきましょう。

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。