築古アパートの空室率58%から満室へ!地域ニーズを踏まえた効果的な空室対策・実例解説

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店長恋水

こんにちは!KOBE(神戸)売却ナビの恋水です。賃貸経営において、空室対策は避けて通れない大きな課題です。特に築年数が経過した物件では、新築・築浅物件との競合激化や入居者ニーズの変化により空室率が高まり、収益確保が難しくなることがあります。本記事では、築32年の木造アパートで空室率58%という深刻な状況に直面したある大家様の事例をもとに、空室問題解決への「はじめの一歩」を解説します。地域の市場ニーズを的確に把握し、戦略的な投資や家賃再設定、募集方法の見直しなどを行うことで、数ヶ月で満室稼働を実現した実例から、効果的な空室対策のポイントを探っていきましょう。

1. 空室問題に直面した築古アパートの事例

今回ご相談を受けた大家様が所有する物件は以下の通りです。

  • 1992年3月築・木造アパート(築約32年)
  • 総戸数12戸中7戸が空室(空室率58%)
  • 間取りは1LDK(約26.4㎡)と2DK(約41.25㎡)

築20年を超えた頃から空室の長期化が目立ち始め、管理を依頼している地元の不動産会社からは特に効果的な空室対策の提案がない状況でした。募集も不動産会社任せで、大家様は建て替えや売却は考えていないとのこと。今後も長く賃貸経営を続けていきたいものの、具体的な打開策が見つからず相談に至ったわけです。


2. よくある空室問題とこの物件が抱える課題

賃貸経営でよく聞かれる悩みとしては、「長期空室」「管理会社からの提案不足」「空室率の悪化」がトップ3に挙げられます。今回のケースは、これら3つの要素が全て当てはまっていました。

  • 長期空室:築古物件で競争力低下が進行
  • 管理会社からの提案不足:任せきりで改善策がない
  • 空室率悪化:物件魅力の低下による入居希望者減少

このようなケースは珍しくありません。空室問題には必ず原因があり、その原因を突き止めて適切な処方箋を出すことが重要です。家賃を下げる、設備を付ける、間取りを変更するなどは、原因分析なしには「闇雲な注射」のようなもの。まずは正確な診察(原因分析)が欠かせません。


3. 原因特定の重要性:現地確認・近隣調査で浮き彫りになった課題

今回のケースでは、まず現地確認と近隣物件調査を行い、以下の3つの問題点が明らかになりました。

  1. インターネット掲載の不十分さ
    募集広告が大手ポータルサイト1社のみで掲載されており、露出不足から反響が少ない。
  2. 必須設備の未導入
    ターゲット層(若年層・ファミリー)が求める防犯性・快適性を高める設備(例:TVモニターホン、温水洗浄便座)が未設置。
  3. 周辺競合物件との比較劣勢
    設備が整った近隣物件と同水準の家賃設定で、かつ礼金ありの条件では見劣りする。

これらの要因が組み合わさり、入居者が他物件へ流出していたわけです。また、周辺の市況としてはネット無料や防犯設備が当たり前になってきている中、この物件だけが昔のままの条件で募集していたことも問題でした。


4. 長期経営方針か、短期収益確保か:対策方針の決定

空室対策には、大家様の経営方針が大きく影響します。たとえば、

  • 長期的に賃貸経営を続けたい場合:リノベーションや外壁塗装といった大規模投資も検討。
  • 短期的な収益確保に重点を置く場合:設備投資を最小限にして賃料・募集条件を調整。

今回の大家様は「建て替え・売却は考えていない」「できるだけ長く続けたい」という意向でした。このことから、最低限必要な設備投資を行ったうえで家賃設定や募集条件を適正化する提案が有効と判断しました。


5. 提案した空室対策の具体的内容

原因が特定できたら、その解決策をいくつか組み合わせて講じることが重要です。今回の対策は以下の通りです。

(1)設備の追加・改善

  • TVモニターホンの設置
    防犯意識が高まる中、来訪者を確認できるTVモニターホンは必須設備となっています。
  • 温水洗浄便座の導入
    周辺ファミリー物件の半数が導入済みであり、この設備がないと競争力が下がる状況でした。
  • 照明の備え付け
    リモコン付きシーリングライトを標準装備することで、入居者の初期費用負担を軽減し、利便性をアピール。

(2)インターネット無料化

10代~40代のネット利用率は90%を超える現代では、ネット無料は必須条件といえます。これにより入居者は契約手続きや初期費用を抑えられ、物件の魅力が大幅にアップします。

(3)賃料の再設定

追加設備に伴い、周辺競合物件との比較を行い、客付けが可能な上限ギリギリの家賃で再設定。設備投資をした分、家賃は少し下げても高付加価値で早期成約が見込めるため、長期的収益の観点からプラスになります。

(4)広告戦略の見直し

大手ポータルサイト1社だけでなく、3つの大手ポータルサイト+地域で反響の高いサイトに物件情報を掲載。写真はサイト上限まで掲載し、新設備と「インターネット無料」を強調することで、内見予約のハードルを下げました。


6. 成果と費用対効果:4ヶ月で満室達成

今回の対策によって、大家様は一部屋あたり約10万円の初期費用(設備費用)と若干の家賃ダウンを受け入れました。これは一見すると「出費をして家賃も下げる」という苦しい決断ですが、実際には7部屋が4ヶ月で全て埋まり、何年ぶりかで満室に。投下した費用は数ヶ月で回収でき、長期的な経営スタイルを考えれば、プラス効果は明らかです。

さらに、後から入居した人だけに新設備があると既存入居者が不満を抱く可能性があるため、既存の5部屋にも同じ設備を整える提案を行いました。まとめて一括工事することで割安になり、既存入居者から不満が出る前に手を打ったことで、入居者満足度も向上。長期的安定経営への布石となりました。


7. 地域特性・物件タイプに合わせた戦略が重要

ここで紹介した対策は、あくまで一例です。必須設備や有効な対策は地域や物件タイプによって大きく異なります。たとえば、都市部の若年層向け物件では防犯性とネット環境が最優先されるかもしれませんが、地方のシニア層向け物件ではバリアフリーや豊富な収納スペースが求められることもあります。

したがって、他物件やエリアの市場分析、管理会社や不動産コンサルタントとの連携が欠かせません。戦略的な投資と条件変更により、築古物件でも入居率改善は可能なのです。


8. まとめ:原因特定から戦略的な処方箋へ

空室問題は症状であり、その裏には必ず原因があります。今回のケースでは、原因分析に基づく「的確な処方箋」を打つことで、短期間で満室化を実現できました。適切な設備導入、家賃再設定、広告戦略強化など、複合的な対策が奏功したのです。

  • 原因分析なしの改善策は効果が薄い:まず現地確認と調査から。
  • 長期経営か短期収益確保かを明確にする:方針によって取るべき対策が変わる。
  • 必須設備・ネット環境・適正家賃が鍵:地域市場にあった条件で魅力をアップ。
  • 既存入居者への配慮:不満を未然に防ぐことで長期安定経営が可能。

こうした考え方は、築古・築浅を問わず、多くの賃貸経営者にとって参考になるはずです。現状把握と原因分析を軸に、柔軟で戦略的な空室対策に取り組むことで、不動産経営を安定軌道へと乗せていきましょう。

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