今回は、賃貸物件の共用部分の日常清掃業務をされている方に、現場で気付いたことや、その解決案を提言していただきました。
私たちは賃貸経営や賃貸管理の当事者ではありませんが、賃貸物件の共用部分を日常清掃している時に、ほんの小さな問題点や、それによって入居者さんが抱えるストレスなどに気付くことがあります。今回は、そこで思い付いた改善案を書かせていただきます。
エントランスは「建物の顔」とも言われますね。確かに建物の正面に立ったときに伝わる第一印象は大事だと思います。築年数は関係なく、きれいに使われていると気持ちがいいですし、何よりしっかりと管理をされていると感じます。お部屋を探している方にとっては、現地で入手する最初の生の情報ということにもなりますので、入居を決めるときの重要なポイントになります。でも最近では、昔のように一目で管理状態が悪く見える賃貸物件も少なくなったように感じます。収益を半ばあきらめた老朽アパートを除けば、多くの大家さんと管理会社さんの努力によって、賃貸物件の管理レベルが底上げされてきた結果でしょう。
そこで日常清掃の現場から一つ提案したいと思います。入口であるエントランスは、その建物の機能が集中している場所でもあります。自転車置き場や集合ポスト、宅配ボックスといったものがそれに当たります。これらの設備をきれいに保つことは当然ですが、その使われ方を適切に管理することが必要だと感じます。実はここができていないと、入居者さんにとってのストレスとなるのです。その中で、今回は自転車置き場に焦点を当ててみましょう。
清掃作業をしていて感じることは、一言でいうと「使いづらそうな自転車置き場がある」ということです。特に賃貸事情のきびしい都市圏は敷地面積の関係で駐輪スペースが十分確保されていない物件もあり、想定以上の台数が置かれています。利用する入居者さんも、両脇の自転車を寄せないと出し入れができないことがあります。年間を通して使われていない自転車や、引っ越しのときに黙って置いていく方もいて、持ち主の分からない自転車もあります。私たちに出来ることは、自転車を整理することで、せめて頻繁に利用する人が出し入れしやすいようにすることくらいです。
そこで、この自転車置き場の問題点を2つに整理してみました。
1、限られたスペースを割り当てる方法を考える。
2、自転車が必要な方を優先する仕掛けが必要。
以下、この2点について考察してみました。
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限られたスペースを入居者に割り当てる方法
お部屋には適正な居住人数設定があると思います。1 R なら1人、2 DK では2人、といった感じです。すべての入居者に1台ずつを確保したいと考えたときに、はたしてスペースは足りるだろうか︖ まずスタートラインはここになると思います。もし、全ての自転車を置く余裕がないとなれば、全部で何台まで収容可能なのか︖ そこが決まれば駐輪希望者に対して、入居手続きや契約更新の際に、空いている駐輪情報を提供することが可能になります。必要な人に必要なスペースを使っていただける状況に、一歩近づけることが出来るのではないでしょうか。
自転車が必要な方を優先する仕掛け
これは敷地面積に限りある都市圏の賃貸物件しか採用できないかもしれませんが、2台目の有料化が一つの答えになるかもしれません。たとえ少額でも使用料が発生するとなれば、必要のない自転車をわざわざ保管し続けることはなくなるでしょう。お部屋の契約更新のときに継続するか確認するのもよいと思います。
入居者さんのストレスというものは、日々の「自転車の出し入れ」のようなささいなところから生まれることもあるようです。そのささいなことに共感してもらえている、解決を考えてくれている、と感じられることで満足感が広がるのではないでしょうか。今回取り上げた自転車置き場だけに限らず、エントランスや集合ポスト、お部屋に至る通路や階段など、日常清掃をしていると「おや︖」というような小さなポイントに気がつきます。この小さな問題解決を積み上げることも、入居者満足につながると思います。そして入居者満足は、大家様の賃貸経営が繁盛するために欠かせない条件にもなると思います。
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