事故物件の告知ガイドライン、存在自体を知らない人が77.2%!

 今回は、賃貸経営にとって興味深い2つの調査結果を紹介させていただきます。

「事故物件」への意識に変化は︖

一つ目は、これまで忌避されていた「事故物件」と、2021年10月に国交省が発表した「宅地建物取引

業者による人の死の告知に関するガイドライン」についての意識と認知度についての調査結果です(複数回答可)。事故物件専門の部屋探しサイト「成仏不動産」を運営する株式会社MARKS(マークス)が実施しました。まず、「事故物件に住めますか︖」という質問には、「いいえ」が62.9%でダントツ一位でしたが、事故の内容次第で住めるが23.8%、物件の条件次第で住めるが22.2%と、意外にも2割以上の方が条件付きで「住める」と答えました。ちなみに、条件なしで住めるという回答も3.9%ありました。

つづいて「内容次第で住める」と答えた人に、「住むことが可能な事故物件は︖」と聞いたところ、孤独死が69.2%でダントツの一位、火災による死亡が39.1%で二番目になりました。自殺(16.5%)や殺人(8.3%)と答えた方もいましたが、やはり事件性のない死因である孤独死物件なら大丈夫、という方が多いです。さらに「条件次第で住める」と答えた人に、「どんな条件であれば住めますか︖」と質問したところ、リフォームされてきれいが83.1%、家賃が安いが82.3%とツートップでした。リフォームと家賃の減額は必須のようです。他の回答は、便利な場所が66.9%、築年数が新しいが50.0%、事故から年数が経過が43.5%と、予想どおりの答えでした。

この最後の「事故から年数が経過すれば住める」と答えた人に、「何年経った物件であれば住めますか︖」と質問しました。この答えには興味を覚えましたが、10年が42.6%、5年が38.9%、3年が11.1%ということで、ある程度の年数経過を希望しているのが実態です。

 

事故物件については、昨年10月に国交省が告知に関する「ガイドライン」を作りました。

 

ガイドラインでは、賃貸については死亡事故発生から3年を経過したものについて「告知しなくてもよい」と定められています。今回の国交省のガイドラインの改定には自死による社会的な偏見から事故のあった物件を瑕疵物件という考え方の助長を防ぐ狙いがあります。ですが、これから部屋を探している人にとっての認識とは少々ズレている結果となっています。事実、不動産屋や宅建業者の事故物件に関するガイドラインの存在を知らないと答えた人は全体の77.2%もいることから、まだまだ認知度の低いガイドラインと言わざるを得ません。事故物件であると言えば当然敬遠されてしまう可能性もありますが、住む家を探す人にとっては重要な情報の一つであることは間違いないようです。双方が納得した契約をするのであれば、契約時の丁寧な説明は必要不可欠ということになります。

お客様が不動産会社に求めることとは︖

 二つ目は、不動産ポータルサイト「アットホーム」が行った、2020年4月以降に賃貸住宅を契約したお客様の「不動産会社に求めること」に関する意識調査です(複数回答可)。

まず、「不動産会社に問い合わせるきっかけとなった媒体は︖」という質問では、不動産ポータルサイトが66.3%でダントツのトップで、増えているといわれているSNSは9.5%でした。

この不動産会社のSNSで物件を見つけた人に「どのSNSで見つけましたか︖」と聞くと、YouTube(ユーチューブ)が68.8%と最多で、Twitter(ツイッター)が56.3%、Instagram(インスタグラム)が50.0%と続いています。情報量の多いYouTubeがよく利用されているようですが、SNSが物件探しに活用される割合は、これからますます増えていくことでしょう。

不動産会社ではお客様に、多くの物件を紹介すべきか厳選して紹介すべきか、意見が分かれるところですが、その答えを求めた設問があります。「物件をどのように紹介してほしいですか︖」という問いに対して、「条件に当てはまる物件はたくさん紹介してほしい」が60.7%、「条件に当てはまる物件の中から厳選してほしい」が39.3%と、20ポイントの差になりました。お客様としては、情報が多い方が希望条件に近い物件に巡り合える、という想いなのでしょう。

 

今回の調査で興味深いのが、「物件情報以外にあったら嬉しい情報は︖」という質問です。その回答は、初期費用が70.9%で最も多く、次いで治安情報が66.7%、公園や学校などの周辺の居住環境が63.8%、災害リスク・避難場所が54.9%、家賃相場情報が48.3%と続きました。仲介手数料や鍵交換代金などの初期費用を知りたい、というお客様が多いので、契約に必要な総額をわかりやすく知らせる必要がありそうです。

また、災害リスク・避難場所についての要望も多く、全国で被災されたニュースに触れて、住む場所

の安全性を重視する風潮が高まっているようです。

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