数年前から賃貸リフォームやリノベの現場で注目を浴びている「塩ビタイル」という床材をご存じでしょうか︖「フロアタイル」や「ウッドタイル」とも呼ばれ、店舗内装だけでなく近年は賃貸住宅での使用が増えてきました。今回は人気の理由やその特徴と、施工する上での注意点をご紹介します。「塩ビ」とは「ポリ塩化ビニル」の略で、壁紙やCF(クッションフロア)や配水管に使われているプラスチックの一種です。塩ビタイルは「ポリ塩化ビニル」で作られたタイル状の床材で、木目調や石目調など 色やデザインが豊富です。同じ床材のCF、フローリングとの比較表をご覧ください。
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比較 | CF | 塩ビタイル | フローリング |
厚み | 1.8mm~4.5mm | 2.5mm~3mm | 12mm~30mm |
素材 | ポリ塩化ビニル | ポリ塩化ビニル | 合板 |
表面 | 柔らかい | 固い | 固い |
耐水性 | ◎ | 〇 | △ |
耐久性 | △ | 〇 | 〇 |
部分張替え | × | 〇 | × |
上張り | 〇 | 〇 | △ |
床暖房 | △ | △ | 〇 |
施工費 | 2,000円~4,000円 | 4,000円~5,000円 | 7,000~15,000円 |
塩ビタイルとCFは施工費が安い
3つの床材の大きな違いは厚みです。CFは 1.8mm ~4.5mm、塩ビタイルは 2.5mm ~ 3mm と非常に薄いので、既存のフローリングに上貼りできてリフォーム費用が安くなるというメリットがあります。フローリングは12mm ~ 30mm と 5 倍から 10 倍くらいも厚いので、基本的に上貼りすることができず張替えが必要になり、既存フローリングの処分費等が発生してリフォーム費用は高額になります。
塩ビタイルは耐久性に優れている
施工費が安いCFと塩ビタイルですが、メインの床材としての耐久性は塩ビタイルの方が優れています。CF
は表面を押すとへこむ素材なので、長い間重い家具などを置くと跡がついてしまいます。一方の塩ビタイルも弾力性はありますが、表面は堅く重たい物を長く置いても跡が残りにくい素材です。退去ごとに張替えると費用がかかりますから、中長期では塩ビタイル仕上げの方が原状回復費用を抑えることができます。
メンテナンス費用が安い
タバコの焦げ跡を修復するとき、CFとフローリングは部分的な補修ができないので一面の張替えが必要です。しかし塩ビタイルはタイル状なので、一枚ずつ張替える部分補修でメンテナンス費用を抑えることができます。
塩ビタイルはトイレ、脱衣所に向いていない?
フローリングに比べると塩ビタイルは耐水性に優れていて、トイレや脱衣所に使用している新築物件も多いで
す。しかし張替えのときは一緒に便器の脱着が必要になってしまいます。その点CFは便器の形状に合わせて
カッターで切れるので張替えが簡単です。またCFは横幅 1.8mのロール状がメーター単位になっているので、狭い箇所なら繋ぎ目なしで防水性の高い仕上がりになります。トイレや脱衣所の床は汚れやすいので張替えが簡単なCFが使用されることが多いです。
ポリ塩ビニルは熱に弱い
ポリ塩化ビニルは熱に弱く、温めると膨張するという特徴があるため、床暖房があるお部屋で塩ビタイルやC
Fを使用するのはお勧めできません。強力な糊を使えば熱による膨張を防げますが、いざ張替えようとすると下地のコンパネまで一緒にめくれるリスクがあるので注意が必要です。電気カーペットくらいで膨張することはありませんが床暖房での使用は注意して下さい。
塩ビタイルには遮音効果がない
CFやフローリングには遮音効果のある商品が販売されていますが塩ビタイルにはありません。分譲マンショ
ンで遮音制限のある物件での使用は注意が必要です。置床工法という方法で床の下地を仕上げれば遮音することができるので、分譲賃貸で塩ビタイルを使用したいときは管理規約を確認して施工会社に相談して下さい。このように塩ビタイルには色々な特徴がありメリットとデメリットもあります。各床材の特徴を理解した上で、中期的や長期的な目線で物件の状況や施工箇所に応じて床材を使い分けることをお勧めします。
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