
こんにちは。KOBE売却&買取ナビ店長の恋水です。近年、賃貸住宅市場では、従来の「立地」「家賃」「間取り」といった従来の評価軸に加え、新たな価値基準が次々と登場しています。LIFULLが2024年12月に発表した2025年トレンド予測によれば、特に注目すべきは「省エネ性能」「億ション」、そして「防犯」という3つの潮流です。本記事では、これらのトレンドがどのように賃貸住宅市場に影響を与えるのか、最新の動向とその背景、そして各トレンドに基づく対策やメリットについて詳しく解説します。
1. 省エネ性能の重要性とその普及状況
1-1. 入居者の意識変化と省エネの波
LIFULLの調査によれば、入居希望者の約50%が省エネ性能に「意識する」または「やや意識する」と回答しており、数年前と比べてその関心は飛躍的に高まっています。これは、エネルギーコストの削減や環境意識の向上、さらには快適な住環境を求める現代のニーズに直結しています。
1-2. 新築建築物への省エネ基準の義務化と今後の展望
2025年4月からは新築建築物に省エネ基準適合が義務付けられ、この基準は2030年以降さらに厳格化される予定です。この制度変更により、省エネ性能表示ラベルを採用する物件が急増し、新築賃貸物件の約1万7,000件がすでに大手ポータルサイトに登録され、そのうち約15%が省エネ物件として区分されています。入居者は、旧型エアコンや断熱性能の低い窓を避ける傾向にあり、実際、関東地方の不動産仲介店では、最新の省エネ設備を備えた物件への需要が高いという声が多数上がっています。
1-3. 補助金制度の活用:窓断熱改修の支援策
賃貸オーナーにとって注目すべきは、窓の断熱改修補助金制度です。複層ガラスへの交換や内窓の設置など、対象工事には1戸あたり最大200万円の補助金が支給されるため、入居者にとっては快適性が向上し、物件価値も高まります。なお、この補助金制度は2024年末で一旦終了予定ですが、2025年度の補正予算に盛り込まれる見込みがあり、今後も継続して利用できる可能性が高いです。省エネ性能の向上は、長期的なエネルギーコスト削減のみならず、環境対策としても大きな意味を持ちます。
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2. 億ションの台頭と地方高級分譲市場の拡大
2-1. 地方都市における高級分譲マンションの登場
これまで、億ション(1戸1億円以上の高級分譲マンション)は大都市圏が主戦場とされていましたが、最近では地方都市でも次々と登場しています。LIFULLの予測によれば、2020年時点で18都道府県に限定されていた億ションの展開エリアが、2024年には33都道府県にまで拡大しており、2025年もこの流れは続くと予想されます。
2-2. 具体例:旭川、首里金城町、松江市での成功事例
北海道旭川市では、市内初のタワーマンション「プレミスト旭川ザ・タワー」が誕生し、最上階の1室(3億5,000万円)が抽選倍率8倍を記録しました。購入者の約60%が居住目的で、医師や経営者などの富裕層が中心です。同様に、沖縄県首里金城町で販売された「プレミスト首里金城町」も、13戸が1億円を超える価格設定ながら好調な販売実績を上げています。さらに、島根県松江市の「アルファガーデン宍道湖」では、最上階3室が1億円超で完売するという驚くべき成果が報告されています。
2-3. 地域経済への波及効果と高級賃貸需要
高級分譲マンションの建設は、単に富裕層の住宅需要に応えるだけでなく、地域の商業施設やインフラの充実を促進します。これにより、周辺の賃貸物件の付加価値が向上し、富裕層の地方分散が進むと、高級賃貸市場への需要も高まる可能性があります。賃貸オーナーにとっては、直接的な影響がないように見えるかもしれませんが、地域全体の不動産市場の指標として、億ションは今後ますます重要な要素となるでしょう。
3. 防犯投資の強化とその重要性
3-1. 防犯意識の高まりと市場調査の結果
LIFULLの調査によると、住宅購入検討者の約80%が「この1年間で防犯意識が高まった」と回答しています。強盗や住居侵入事件の報道を背景に、約30%の人が一戸建てから集合住宅への住み替えを検討しているという結果も出ています。防犯投資は、入居者の安心・安全を確保するための必須要素となっています。
3-2. 侵入手口と防犯設備の需要
警視庁の統計では、戸建住宅への侵入経路は「窓」が55.2%で最も多く、次いで「玄関」が20.2%を占めています。さらに、侵入手口としては「無締まり」(46.3%)や「ガラス破り」(35.8%)が主要な手段とされています。これらの状況を受け、入居者は防犯設備への投資に関心を高めています。
3-3. 自治体による支援策と防犯設備の導入
東京都葛飾区では、防犯カメラ、録画機能付きドアホン、防犯ガラス設置にかかる費用の半額(上限4万円)を助成する制度が実施されています。こうした自治体の支援策は、賃貸住宅に限らず、広く普及しつつあります。防犯設備への投資は、入居者の安全確保だけでなく、物件の付加価値を向上させる効果があるため、オーナーにとっても魅力的な選択肢となります。
4. 2025年の賃貸住宅市場を見通す:3大トレンドの総合的影響
2025年に向け、賃貸住宅市場では以下の3つの新しい潮流が顕著に現れています。
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省エネ性能
新築物件に省エネ基準が義務化され、補助金制度の後押しもあって、省エネ設備を備えた物件が急増中。入居者のエネルギーコスト削減志向と環境意識の高まりにより、物件選びの重要な判断基準となっています。 -
億ション
地方都市における高級分譲マンションが拡大し、これまで大都市圏に集中していた富裕層の住宅需要が全国に広がっています。地域経済の活性化やインフラ整備にも寄与し、周辺の賃貸物件の価値向上にもつながると期待されます。 -
防犯投資
強盗や住居侵入のリスクを背景に、入居者の防犯意識が急上昇。自治体の助成策とともに、防犯設備の導入が必須となり、物件の安全性と付加価値を高める重要な要素として注目されています。
これらの要素は、今後の賃貸住宅市場での物件選びや経営戦略に大きな影響を与えるでしょう。オーナーは、省エネ性能の向上や防犯設備の充実、さらには高級分譲マンションの建設動向を注視しつつ、物件の競争力を維持・向上させるための施策を積極的に取り入れることが求められます。
5. まとめ
2025年に向けた賃貸住宅市場のトレンドとして、省エネ性能、億ション、防犯投資の3大要素が、入居者の選択基準としてますます重要になることが明らかになりました。省エネ性能の向上は、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減に直結し、補助金制度の活用が進む中で物件価値を高めています。億ションは、地方都市でも高級分譲マンションが増加し、富裕層の地方分散が進むことで、周辺の賃貸市場全体の指標としても注目されています。そして、防犯投資は、強盗や住居侵入のリスクに対する入居者の意識の高まりと、自治体支援策によって、物件の安全性と付加価値を向上させるために不可欠な投資となっています。
不動産業界関係者、賃貸オーナー、そして入居者の皆さんは、これらの新潮流を踏まえた上で、柔軟な対応と戦略的な投資を行うことで、今後の市場変化にしっかりと対応できるはずです。変革が加速する中、最新情報を常にキャッチし、賃貸市場の動向を読み解く力が求められる時代となりました。これからも省エネ、億ション、防犯といった新たな価値基準が、物件選びや賃貸経営の成功を左右する重要な要素として、業界全体に影響を与えていくことでしょう。
今後、これらのトレンドがどのように具体的な施策として実行され、市場にどのようなインパクトをもたらすのかを注視しながら、各事業者やオーナーは戦略の再構築を迫られることになります。新たな時代の賃貸住宅市場は、環境や安全性を重視した高品質な住環境の提供と、地域経済の活性化を同時に実現する可能性を秘めています。賃貸市場の変革をチャンスと捉え、今後も先を見据えた取り組みを進めていくことが、業界全体の持続可能な成長につながると信じています。
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この対談記事では、2025年に向けた賃貸住宅市場の3大トレンド、省エネ性能、億ション、防犯投資について、LIFULLの予測と最新の動向を踏まえながら、業界全体の変革の兆しを詳しく解説しました。各トレンドは、入居者のニーズや地域経済、そして政策動向と密接に関連しており、今後の賃貸住宅市場を左右する重要な要素となるでしょう。不動産業界関係者、賃貸オーナー、そして入居者の皆さんがこれらの動向に注目し、柔軟かつ戦略的に対応することで、より快適で安全、かつ持続可能な住環境が実現されることを期待しています。