築古物件で収益を健全化する7つのポイント:空室・修繕・出口戦略を踏まえた賃貸経営術

https://www.kobebaikyaku.jp/wp-content/uploads/2021/06/koimizu-300x300.jpg
店長恋水

こんにちは。KOBE売却&買取ナビ店長の恋水です。賃貸物件における借主の迷惑行為が引き起こすトラブルは、他の入居者に大きな影響を及ぼし、賃貸人にとって深刻な問題となります。本記事では、賃借人の迷惑行為に対して賃貸人が無催告解除を行い、建物明渡し訴訟に発展した事例を解説します。契約解除においては、借主との「信頼関係の破壊」が適用のポイントとなりますが、その詳細についてもお伝えします。

1. 築古物件が抱える3つの課題とは?

築古物件には以下の3つの課題が複合的にからみ合います。

  1. 空室問題
    入居者ニーズが変化し、新しい設備や便利な立地条件を備えた競合物件が増える中、築古物件は「古くて魅力がない」と敬遠され、入居付けが難しくなります。
  2. 修繕計画の欠如
    築浅時には大きな修繕費がかからず収益を上げやすいものの、築古になってからは設備や外観の老朽化が顕著になり、修繕費用が膨らむ傾向があります。修繕計画が曖昧なままでは、収支が悪化する一方です。
  3. 出口戦略の不在
    「いつまで経営を続けるのか?」という問いに明確な答えがない場合、再投資すべきか、最低限の対策で済ませるべきか判断がつかず、戦略が迷走してしまいます。

この3つの課題は相互に影響し合います。空室問題だけに注目して一時的な家賃値下げや販促費の投入をしても、修繕や将来的な出口戦略を無視すれば長続きしません。逆に、修繕や出口計画だけ考えても、現在の空室改善なくして収益アップは不可能です。


2. 空室対策を成功に導く7つのポイント

これらの前提を踏まえた上で、空室問題を解決しつつ収益を健全化するために押さえるべき7つのポイントを紹介します。

借主・入居者層を意識する

「入居してくれるなら誰でもいい」と考えると、物件に様々な層が混在し、トラブルやクレームが増える可能性があります。高齢者、外国籍、生活保護受給者、不安定な職業の方々など、収入や生活スタイルが安定しにくい層を受け入れるなら、そのリスクと対策を踏まえた上で判断しましょう。

入居者層が物件のイメージを決定します。ターゲットを明確にすることで、設備投資や広告戦略も的確に行え、空室期間を短縮できます。

入居条件を広げる

入居者層を選びすぎると空室が埋まらない一方で、広げすぎるとリスクが増します。保証会社の活用や身元保証人の確保、設備や保険加入でリスク低減を図りつつ、入居間口を広げる工夫が求められます。リスクをゼロにはできないものの、対策によって最小化できます。

中長期で収支計画を立てる

出口戦略を踏まえ、例えばあと20~30年賃貸経営を続けるのであれば、その期間を念頭に新たな投資や収入・支出のシミュレーションを行いましょう。逆に、5~10年で経営終了を考えるなら、過剰な設備投資は抑え、空室改善策もミニマムな対応に留めるなど、期間によって戦略を変えることが重要です。

募集条件の柔軟性と中期収支計算

空室が数ヶ月続き、家賃収入が減少している場合、家賃数ヶ月分を「販促費」として活用し、打開策を練ることも一つの方法です。たとえば、エアコンやネット無料サービス、フリーレント期間、家具・家電付きプランなど、入居者にとって魅力的なオファーを用意することで、短期的に空室解消が可能になります。

硬直した条件を続けるのではなく、柔軟なアイディアで募集条件を最適化する。その際には、単年度でなく退去までの期間での費用対効果を検討することが賢明です。

募集戦略のためにUSPを整理する

USP(Unique Selling Proposition)とは、物件の「独自の強み」です。築古だからといって強みがないわけではありません。立地条件、広い間取り、静かな環境、家賃の安さ、駅からのアクセス、共用部分のクリーニングや定期メンテナンスなど、一つでも他物件にない魅力を見つけ、それを前面に打ち出しましょう。

USPが明確になれば、ターゲット層に刺さる募集条件や宣伝文句が考えやすくなります。

適正に家賃査定をする

大家側の希望家賃をベースに計画を立てると市場との乖離が起こり、空室改善に時間がかかります。地域相場や競合物件の家賃データを分析し、物件の設備・立地・築年数を考慮した「適正家賃」を把握することが第一歩です。

適正家賃を知ることで、中長期の収支計画にもリアリティが増し、無理のない空室対策が可能になります。

共用部分の清掃を考える

いくら家賃を下げたり、設備を充実させても、共用部分が荒れ放題では入居者の満足度が上がりません。清掃や簡易リフォームなど最低限の維持管理を行うことは、資産価値と入居率維持に不可欠です。たとえば月1回以上の定期清掃を計画的に行い、「割れ窓理論」(汚れたまま放置するとさらに汚れや犯罪が誘発される理論)を回避しましょう。


3. 築古でなくとも、準備は今から始める

現在、新築や築浅物件で経営しているオーナーも、いずれは築年数が経過し、同様の課題に直面します。空室問題、修繕計画、出口戦略の3課題は築年数を問わず共通のテーマです。

未来を見据えて、今から長期的な視点で修繕計画を立て、USPを明確にしておけば、築古になったときに慌てず対策を打てるでしょう。時間を味方につけることで、計画的な改善が可能になります。


4. まとめ:築古物件収益健全化の鍵は総合的な戦略

築古物件の収益を健全化するためには、空室問題だけでなく、修繕計画や出口戦略を含む総合的な視点が不可欠です。以下のポイントを再確認しましょう。

  • 入居者層を明確化し、入居条件を調整してリスクを最小化
  • 中長期的な収支計画を立て、出口戦略に合った設備投資や家賃設定を実行
  • USP(独自の強み)を把握し、適正家賃と効果的な販促策を検討
  • 共用部分の清掃など基本的な維持管理で資産価値を維持

これらをバランスよく組み合わせることで、築古物件でも収益の安定化が可能となります。築年数に関わらず、時代や市場環境に合わせた柔軟な経営戦略が、これからの賃貸市場で生き残る鍵になるでしょう。

\不動産の管理や売却などのお悩み、ご相談下さい!/

事前にLINEアプリのダウンロードをされていない方はアプリのダウンロードが必要となります。
当サービスの利用が初めての方は「友だち追加」を行ってください。