
こんにちは!KOBE(神戸)売却ナビの恋水です。不動産市場は各国でそれぞれ異なる進化を遂げています。今回は、世界の賃貸住宅事情に焦点を当て、イギリス、韓国、アメリカの3カ国で見られる注目のトピックスをお届けします。若者の間で人気の「大家インフルエンサー」、韓国特有の「チョンセ詐欺」問題、そしてアメリカで進む「オフィスの賃貸住宅化」―これらの動向は、今後の賃貸市場や地域経済に大きな影響を与えると考えられます。LIFULLの最新トレンド予測や各国の実情をもとに、各セクションで詳しく解説していきます。
1. 【イギリス】スター大家に若者が夢中!〜SNSで注目の「ランドロードインフルエンサー」〜
若者の間で拡大する大家インフルエンサー現象
英国紙「ガーディアン」が報じたところによると、イギリスではインターネット上で「ランドロード(家主)インフルエンサー」が注目を浴びています。インフルエンサーとは、SNS上で大きな影響力を持つ人々のことで、最近は特に20代から30代の若者が、購入した古い住宅をリフォームして、売却や賃貸運営で利益を上げる事例が増えています。
事例:ジェイムス・クープランドさん(28歳)の成功ストーリー
報道によれば、ジェイムス・クープランドさんは、学校で勉強しながら低金利ローンで古い物件を購入。YouTubeで学んだ大工技術を活かしてリフォームを行い、購入額のほぼ倍の価格で物件を売却するという快挙を成し遂げました。そのリフォーム工程を短い動画にまとめ、TikTokに投稿すると、わずか一晩で6万回以上の再生回数を記録。現在、彼の動画は44万人以上のフォロワーを誇り、特に10代~20代前半の若者たちから大きな関心を集めています。
若者の憧れと現実の厳しさ
SNS上では、不労所得を得て自由なライフスタイルを謳う大家インフルエンサーの姿が美化されがちですが、実際の大家業は地味な業務や多くのリスクが伴います。日本でもスルガ銀行問題など、不動産投資の落とし穴が指摘されているように、大家業は決して甘い事業ではありません。ベテラン大家や大家団体は、SNSでの発信内容が過大に儲かると強調し過ぎている点に懸念を示しており、現実と理想のギャップに注意を呼びかけています。
2. 【韓国】チョンセ詐欺が社会問題化―保証金トラブルとその悲惨な実態
韓国独自の家賃制度「チョンセ」とは?
韓国では、家賃制度の一形態として「チョンセ」が広く利用されています。チョンセでは、借主が一定額の保証金を貸主に預け、その保証金を貸主が運用して収入を得る仕組みです。契約期間終了時に保証金が全額返却されるため、借主は家賃を支払わずに住むことができます。しかし、このシステムには大きなリスクが潜んでいます。
詐欺事件の深刻な拡大
近年、チョンセ保証金が返還されないトラブルが相次ぎ、警察が詐欺事件として捜査を開始しています。被害者は韓国全土で数百人に上り、被害総額は数百億円に達するとされています。高騰していた不動産価格が下落に転じた結果、保証金で賄えなくなった大家が、受け取った高額保証金を別の物件購入などに充てた結果、保証金の返還ができなくなったケースが多く報告されています。
社会への影響と深刻な現状
チョンセ詐欺は、韓国経済の成熟とともに、長年にわたる慣習の弊害として指摘されています。被害者の中には、保証金を返還されず経済的に追い詰められた結果、自殺に追い込まれるケースもあるため、社会全体で大きな問題となっています。専門家は、政府に対して救済策の強化を求める声が高まっていると指摘しており、今後の法改正や制度見直しが期待される状況です。
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3. 【アメリカ】オフィスの賃貸住宅化が進行中―都市再生と規制緩和の狭間で
オフィスビルから住居へ:新たな利用転換の試み
アメリカでは、リモートワークの普及に伴い、大都市圏を中心にオフィスビルを住宅に改修する計画が急速に進んでいます。オフィスの過剰供給と住宅不足という2つの社会問題に対する解決策として、オフィスの賃貸住宅化は注目されています。ニューヨーク・タイムズの報道によれば、この施策により、空きオフィスビルを有効活用しながら、住宅需要を補うことが期待されています。
工事費用と規制の課題
しかし、オフィスビルを住宅に改修するには、想定賃料と工事費用の天秤をどうかけるかという複雑な計算が必要となります。また、住居としての適合性を判断するために、建築に関する各種規制のクリアも必要です。戦前の古いオフィスビルは、空調設備が貧弱なため、窓を開けて自然換気を行う仕様になっており、改修が比較的容易とされています。一方で、現代のオフィスビルでは窓が開かない設計が多いため、住居への転換は容易ではありません。
住居としての需要と行政の取り組み
興味深いのは、リモートワークを続けたいという働き手の9割以上が、今後もオフィス改修による住宅化の取り組みに期待を寄せている点です。さらに、都市部の空洞化を食い止めるため、行政も規制緩和を検討するなど、オフィスビルの住宅化に向けた取り組みが進んでいます。住居とオフィスの境界が曖昧になりつつある中で、今後の都市再生の鍵となる可能性が示唆されています。
4.3つの新潮流が描く賃貸市場の未来
2025年に向けた賃貸住宅市場のトレンドは、今後の不動産業界に大きな影響を与えると考えられます。
- 省エネ性能:新築物件への省エネ基準の義務化と補助金制度の活用により、入居者はエネルギーコスト削減と快適な住環境を求める傾向が強まっています。
- ローカル億ション:地方都市でも高級分譲マンションが増え、富裕層の地方分散が進む中、周辺の賃貸物件の付加価値が向上する効果が期待されます。
- 防犯投資:強盗や侵入事件のリスクが高まる中、自治体支援とともに防犯設備への投資が進み、入居者の安全を確保することが物件選びの新たな判断基準となっています。
さらに、イギリスでは若者を中心とした「大家インフルエンサー」が注目され、韓国ではチョンセ制度の弊害が深刻な社会問題となり、アメリカではオフィスの賃貸住宅化が都市再生の新たな手法として浮上するなど、各国の動向はそれぞれ異なる特徴を持ちながらも、共通して賃貸住宅市場の変革を促しています。
不動産業界の関係者や賃貸オーナー、さらには入居を検討する方々は、これらの新潮流に注目し、柔軟な対応と戦略的な投資を進めることで、今後の市場変化にしっかりと備える必要があります。未来の賃貸住宅市場は、省エネ性能や安全性、地域経済の活性化といった新たな価値基準が、住まい選びの決定的要素となるでしょう。
まとめ
本記事では、イギリス、韓国、アメリカの3カ国で見られる賃貸住宅市場の最新動向について詳しく解説しました。各国のニュースは、単に国ごとの事情に留まらず、グローバルな不動産市場のトレンドを読み解く上で非常に参考になります。業界関係者や投資家、さらには入居者の皆さんが、これらの情報をもとに今後の賃貸市場の動向を理解し、適切な戦略を立てることが求められます。変革が加速するこの時代、柔軟な発想と先見の明が成功の鍵となるでしょう。
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