便利なはずのネット申込みが実は落とし穴?現場に混乱を招く?

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店長恋水

こんにちは。KOBE売却&買取ナビ店長の恋水です。神戸や関西圏含め全国の賃貸住宅市場は近年、急速に変化しています。その一因となっているのが、インターネットを利用した入居申込みの普及です。ネット申込みの導入により、入居希望者が簡単に物件を仮申込みできるようになりました。その結果、一部では希望する物件が見つけにくくなるといった問題が浮上しています。また、省エネ性能表示制度の開始により、賃貸住宅の選択基準にも新たな視点が加わりました。本記事では、ネット申込みの現状と課題、そして省エネ性能表示制度の影響について詳しく解説します。

ネット申込みの普及とその影響

賃貸住宅の入居申込みにオンラインサービスが追加されたことにより、「とりあえず」や「仮で」という気軽な申込みが増加しています。これにより、実は物件探しがより簡便になった反面、希望する物件が見つけにくくなるという新たな課題が生じています。

従来、入居申込みは署名・捺印された書面で行われることが一般的でしたが、コロナ禍を契機に、インターネット上で申込み手続きが可能となるサービスが数年前から始まりました。入居希望者がネット上で入力した情報や進捗状況は、仲介会社だけでなく、管理会社、家賃債務保証会社、家財保険会社などと共有されるため、申込書提出から審査までのプロセスが効率化されました。ある入居申込サービス運営会社によると、年間のネット申込み件数は100万件を超えており、利用が急速に拡大しています。

仮申込みの増加による市場の混乱

オンライン申込みの普及に伴い、内見を行わずに仮申込みをする入居希望者が増加しています。これにより、物件が「入居申込済み」として留め置かれ、本当にすぐに入居したい顧客に物件を紹介するのが難しくなっています。例えば、ある仲介会社では、社員が朝から晩までパソコンと向き合い、物件情報を探し続けなければならない状況が続いています。

また、借主の退去告知を2ヶ月前とする契約条件が増加しているため、手頃な物件が「入居中」で内見できないことが多く、仮申込みの増加に拍車がかかっています。ある調査によると、入居申込みの3割以上がネット経由となっています。現時点では賃貸経営に直ちに大きな影響が出るわけではありませんが、仮申込みの増加が続けば、現場の混乱が拡大する可能性があります。この状況を注意深く見守る必要があるかもしれませんね。

省エネ性能表示制度の開始とその影響

今年4月から住宅の省エネ性能表示制度が開始されました。この制度は、住宅販売・賃貸事業者に対し、建物の省エネ性能を広告などで公表することを求めるものです。消費者はこの情報をもとに、省エネ性能を比較検討しながら住まいを選ぶことができるようになります。新築の賃貸住宅についても省エネ性能の表示が努力義務となり、オーナーも対応が求められます。怠った場合、国交省によって勧告・公表・命令を受ける可能性があります。

省エネ性能は、断熱性能とエネルギー消費量の2つの指標で表され、それぞれ星の数が多いほど高性能であることを示します。省エネ性能の高い賃貸住宅が認知されるようになれば、入居者にとって光熱費の節約につながる点を訴求でき、将来的には空室率の低下や賃料アップが期待できるかもしれません。

高断熱・高気密の賃貸住宅の事例

北海道ニセコ町では、冷暖房費が月5,000円程度に抑えられる高断熱・高気密の賃貸マンションが登場しています。この物件は、家賃が周辺相場より高めにもかかわらず、入居者から好評で満室となる人気ぶりです。地元紙でも報じられています。「政府は2050年の脱炭素社会実現に向け住宅の省エネ化を推進しています。この流れを受け、省エネ性能の高い賃貸物件への融資に金利優遇などの措置を講じる銀行も出てくると予想しています」と、大手ハウスメーカーの幹部も語ります。国や自治体からの補助金も増えそうで、制度や融資を上手に活用できれば、入居者ニーズを捉えながらオーナーの負担を軽減しつつ資産価値の向上を図ることができるでしょう。

家賃の上昇とその背景

物価高騰の影響で賃貸住宅の家賃が上昇しています。2023年の消費者物価指数(CPI)では、賃貸住宅の家賃を示す指数は前年比0.1%の上昇を見せ、実に25年ぶりのプラスとなりました。しかし、実態は建築費増加によって新築物件の家賃が上がり、市場全体を引っ張っているようです。既存の入居者に家賃値上げを求めるのはハードルが高いという声が多く聞かれます。

例えば、大阪で複数の物件を持つ法人オーナーによると、「清掃会社から値上げ要請があり、社内で吸収するのも限界に達したため、入居者に一律1,000円の管理費値上げを通知したが、凄まじい反発があった。驚いたのは個人だけでなく法人契約者からもかなりの反発があったこと。実質賃金の上昇が世間一般に広がるまで家賃の値上げには手が出せそうもない」と語ります。原状回復工事の単価も上昇しているため、「入退去のタイミングで値上げに踏み切るしかない」と語る管理会社もありました。地域ごとの違いはありますが、賃貸経営の根幹をなす家賃の全面的な上昇が期待できる局面はもう少し先のようです。

まとめ

賃貸市場は、オンライン申込みの普及と省エネ性能表示制度の導入によって大きな変化を遂げています。ネット申込みの利便性がもたらす一方で、仮申込みの増加による市場の混乱も避けられません。省エネ性能表示制度の導入により、高性能な賃貸住宅が注目されるようになり、将来的には賃料の上昇や空室率の低下が期待されます。しかし、賃貸経営者にとっては、これらの変化に適応するための柔軟な対応が求められます。今後も市場の動向を注意深く観察し、適切な対策を講じることが重要です。

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