
こんにちは!KOBE(神戸)売却ナビの恋水です。賃貸住宅市場は今、大きな転換期を迎えています。東京都が発表した総額199億円の省エネ支援策は、賃貸物件の断熱改修を促進し、省エネ性能が資産価値を左右する時代へと移行しています。一方で、サイバー攻撃による個人情報漏洩のリスクも深刻化しており、オーナーや管理会社にはセキュリティ対策の強化が求められています。本日は「エコ」と「安全」―この2つの要素が、これからの賃貸経営のカギを握る重要なテーマとなっていくことを解説していきます。
1. 賃貸住宅の省エネ化が加速―東京都が199億円の支援策を導入
東京都の小池百合子知事は、2025年度予算案において賃貸住宅の省エネ化促進策として総額199億円を計上することを発表しました。この予算は、都内の住宅の約半数を占める賃貸住宅の断熱性能向上を目指すものであり、2030年までに約100万戸の改修を目標としています。2024年度の予算額は約2.5億円だったため、大幅な増額となっており、都の本気度がうかがえます。
1-1. 省エネ支援策の具体的内容
この支援策には、断熱工事費用の一部補助に加え、専門家による省エネ診断の無料派遣制度が新設される点が大きな特徴です。診断は1棟あたり最大120万円まで全額補助され、賃貸オーナーは光熱費削減やエネルギー効率の向上に向けた具体的な改修プランを専門家から提案してもらうことができます。
1-2. 省エネ化の流れと市場の変化
賃貸住宅市場はすでに大きな転換点を迎えています。今年4月から施行された建築物省エネ法により、新築物件には省エネ基準適合が義務付けられることになりました。この流れを受け、既存の賃貸住宅でも省エネ性能が資産価値に大きく影響を及ぼす可能性が高まっています。
また、物件検索サイトLIFULL(東京)が2024年9月に実施した調査(一都三県在住の20~49歳の男女1,000名対象)によると、**引越し検討者の70.2%が物件選びの際に省エネ性能を「意識する」と回答。さらに、賃貸物件を検討している層では74.7%が「電気・光熱費を安くしたい」**と答えており、購入検討者よりも10%以上高い結果となりました。特に若年層では、月々の光熱費削減を求める傾向が顕著です。
また、41.9%が**「環境への負荷を軽減したい」**と答えており、環境意識の高まりも省エネ賃貸物件へのニーズを押し上げています。(LIFULL HOME’S「物件の省エネ性能に関する意識調査」2024年9月実施)
2. 賃貸業界で情報漏洩が深刻化――サイバー攻撃と個人情報保護の課題
一方で、企業における個人情報漏洩事故の増加が不動産業界にも影響を与えています。信用調査会社の東京商工リサーチによると、2024年に発生した上場企業の情報漏洩・紛失事故は189件に達し、過去最多を更新しました。そのうち、**ランサムウェア(身代金ウイルス)などによる不正アクセス被害は114件(全体の60%)**を占め、被害の深刻さが浮き彫りとなっています。
2-1. 二次被害の増加と不動産業界への影響
特に注目すべきは、企業が直接攻撃を受けるだけでなく、**システム業務の委託先が被害を受けることで連鎖的に顧客情報が流出する「二次被害」**の増加です。九州地方の大手賃貸管理会社もランサムウェア攻撃を受け、入居者や物件オーナーの個人情報が流出した可能性が報告されています。
不動産業界における個人情報流出は、単なる漏洩問題にとどまりません。流出情報は闇市場で取引され、特殊詐欺や闇バイトを利用した強盗などの犯罪に悪用されるケースも報告されています。賃貸住宅の入居者情報には、氏名、住所、電話番号だけでなく、年収や勤務先といった詳細な個人情報が含まれているため、犯罪者にとっては特に魅力的な標的となっています。
2-2. 賃貸オーナーが取るべき対策
賃貸オーナーとして、こうしたリスクにどう対応すべきかを考えると、以下のような対策が重要になります。
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管理会社との連携強化
- 入居者の個人情報を適切に保護するため、管理会社のセキュリティ対策を定期的に確認する。
- 顧客情報の取り扱いに関するルールを明文化し、オーナーと管理会社で共有する。
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サイバー保険の導入検討
- 万が一情報漏洩が発生した際の補償として、サイバー保険への加入を検討する。
- 現在、企業向けのサイバー保険は充実しており、不動産管理業者向けの商品も増えている。
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物件の防犯対策の強化
- 入居者情報が犯罪者に利用されるリスクを考慮し、建物の防犯設備(オートロック、監視カメラ、防犯ドア)の強化を進める。
情報セキュリティ対策は、もはや大手企業だけの問題ではなく、賃貸オーナー自身も意識しなければならない課題となっています。今後は、入居者の個人情報を預かる責任を重く受け止め、適切な管理体制の構築が求められます。
3. まとめ:省エネ化と情報管理が賃貸市場の新たな課題に
賃貸住宅市場は大きな転換期を迎えています。東京都が発表した199億円規模の省エネ支援策は、賃貸オーナーにとって大きなビジネスチャンスとなる一方、サイバー攻撃による個人情報漏洩のリスクが拡大しており、新たなリスク対策が求められています。
- 省エネ化の進展:2025年度の補助金制度により、賃貸物件の断熱改修が急速に進む可能性が高い。特に若年層の入居者は光熱費削減を重視しており、今後の物件選びにおいて省エネ性能が重要な判断基準となる。
- 情報漏洩リスクの深刻化:ランサムウェア攻撃やデータ流出による二次被害が増加し、賃貸業界も標的になっている。オーナーは管理会社と連携し、セキュリティ対策の強化やサイバー保険の導入を検討すべき。
- 入居者の安全確保と管理強化:個人情報が犯罪に悪用されるリスクを踏まえ、防犯設備の導入や物件の安全対策を強化することが求められる。
今後、賃貸住宅市場では、省エネ性能と情報管理がますます重要になり、オーナーの意識と対応次第で資産価値や競争力が大きく変わる時代に突入しています。
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