漏水トラブルは管理スタッフだけでなく、大家さんの頭を悩ませるものです。入居者さんが不満を感じ続けると、退去の原因になることもあるからです。
漏水トラブルの対処法は多種多様ですが、基本的な考え方が存在します。4月に新しい管理スタッフを迎え、ミーティングとしてレクチャーした内容を紹介します。
漏水トラブルを解決する方法
漏水トラブルを解決するにはスピードが要求されます。
自主管理の大家さんは「漏水トラブルの解決」が最も大変な作業になることもあります。大家さんが業者に手配すれば解決するわけではないからです。
たとえ業者に手配したとしてもフォローが必要です。業者に任せっきりにすることはできず、日程調整や在宅依頼など、入居者さんと業者の間を取り持つ必要があります。
大家さんにとって、漏水トラブル解決は手間がかかる面倒な作業であることが少なくありません。
そのため管理スタッフは大家さんや入居者さん、業者の間をとりもつパイプ役を果たすことになります。
漏水トラブル対処で大事なこと
漏水トラブルの対処で大事なのは「入居者さんの感情ケア」です。
漏水には小修理で直せるものや足場をかける大規模なものまであり、2つに大別できます。
- 躯体や設備が原因の雨漏り・水漏れ
- 入居者さんが原因の水漏れ
それぞれの対処で大事なことをお伝えしていきます。
躯体が原因の雨漏り・水漏れ
躯体が原因の水漏れは、老朽化による雨漏りが最も多いといえます。しかし通報を受けて現場にかけつけても、まだ雨が降っている最中なら原因特定が難しい場合もあります。
管理者として大事なのは「入居者さんの感情を落ち着かせること」です。
原因特定に時間を要する場合でも、以下のような対処が必要でしょう。
- 雨漏りをバケツで受ける
- 濡れた箇所を拭く
- 現場でできる応急手当をする
- 現状と今後の修復の流れを入居者さんに説明する
とにかく先行き不安な入居者さんを安心させることが大事です。
業者に依頼したあとは、以下のことをおこないます。
- 入居者さんに現状を説明する
- 業者が現場にくる日程を決める
- 応急処置ができれば対応する
- 専門家の見立てを確認する
- 修復工事の日程を決める
- 大家さんへの報告する
- 大家さんが加入している保険を確認する
- 保険会社へ連絡する
入居者さんへの状況説明は、可能な限り細かくおこないましょう。工事をしたとしても、次の大雨でまた雨漏りする場合もあるからです。
仮に工事後にまた雨漏りをすることがあると、入居者さんの不満が高まります。悪い場合には退去することもあるかもしれません。
雨漏りは業者に依頼しなければ直せないため、間に入って調整するしかありません。入居者さんとの連絡を密にして、入居者さんの不安を取り除くことで安心感を感じてもらうのが一番です。
設備の不良による水漏れ
設備の不良による水漏れは、老朽化やリフォーム工事で起こるケースがあります。設備の水漏れは2つにわかれます。
- 排水
- 給水
特にトイレや台所の排水から漏れる水は不衛生です。入居者さんの不満が大きくなるため、早急に対処しなければいけません。
給水トラブルが突発的におこる場合、被害が大きくなるケースがあります。基本的な対処は雨漏りのときと同様です。
現場で応急処置をほどこし、その場で対処できる場合は修理します。専門家に頼る必要があると判断した場合は依頼し、なるべく早期に対処してもらいましょう。
階下まで漏れるケースもあるため、設備による水漏れのケースでは下の階の入居者にも協力してもらうことがあります。すぐに降りて確認するようにしましょう。
もし留守で緊急性が高いときは、連絡して入室の許可を得て室内に入ります。階下の人が許可してくれないケースも少なくありません。しかし家具などが水浸しになることを説明し、説得が必要です。
入室するときは必ず複数で入室するようにします。大家さんに同行してもらうことも検討しておきましょう。
入居者さんが原因の水漏れ
入居者さんが原因の水漏れには以下のようなものがあります。
- 台所や浴室の水を出しっぱなしにする
- 洗濯機のホースが外れた
- トイレを詰まらせた
原因がわかりやすく、対処法が明確である場合が多いです。
入居者さんが原因の水漏れの対処
入居者さんが原因の水漏れへの対処は、およそ以下のことが必要です。
- 被害の把握
- 修復工事の業者手配
- 大家さんへの報告
- 入居者さん加入の保険処理
階下の部屋に水が漏れている場合は、階下の入居者さんへの手当も必要です。
入居者さんが原因の水漏れの場合、階下の人から一報があるケースが多いでしょう。入居者さんから「天井から水が滴っている」と通報があり、上の階が留守だということもあります。
上の階の人に連絡すると「お風呂が出しっぱなしだったかも」など、原因が解明されることも少なくありません。
まとめ
漏水トラブルの原因は多種多様で、経験を積んだ管理スタッフでも体験していないことが起こる可能性があります。基本的に「即対応・即解決」を心がけますが、「漏水を未然に防ぐ」という意識も重要です。
漏水を未然に防ぐのも賃貸管理の大事な役目といえるでしょう。そのため定期的に躯体や設備を点検し、修繕や取替えを検討します。大家さんが渋る場合には説得が必要です。
また入居者さんに「正しい設備の使い方」を啓蒙することも大事といえます。管理スタッフは「入居者さんを日常に戻す」ことを考えつつ「大家さんの収益を守る」ことが大切です。
賃貸管理の目的を忘れずに対応することが求められています。