相続した不動産を売却するには、書類を準備したり申請したりする必要があります。
「相続した不動産を売却したい」
「不動産を売却する手順を知りたい」
「相続した不動産を売却する際の注意点は?」
不動産を相続した際、個人で手続きするには難しいと感じる手続きもあります。
しかし、不動産会社を通すと費用がかかるため、個人で手続きをおこないたい人もいるのではないでしょうか。
本記事を参照していただき、不動産を売却できるようお手伝いいたします。
相続した不動産を売却するには?
相続した不動産を売却するには、期限を守る必要があります。
相続してから3カ月以内に、以下のことを確認・決断しなければいけません。
- 遺言書の有無
- 遺産や債務の有無
- 相続放棄
相続放棄をしない場合でも、各手続きに期限があります。
相続した不動産売却の各種期限
相続の手続きには、以下のようなものがあります。
- 相続放棄(3カ月以内)
- 限定承認(3カ月以内)
- 準確定申告(4カ月以内)
- 相続税の申告と納税(10カ月以内)
- 遺産分割協議(期限なし)
手続きの種類により期限が異なりますが、3カ月以内と考えておけば大丈夫です。
相続した不動産を売却する方法
相続した不動産を売却する方法は2種類あります。
- 共有名義で相続し、売却する方法
- 代表者が相続し、売却後に代金を分け合う方法
共有名義で相続し、売却する方法
不動産を売却するには、被相続人から相続人に名義変更する必要があります。
「共有名義」とは、相続人全員のことを指します。
法定相続人である親族全員で相続したとし、不動産を売却する方法です。
共有名義で相続し不動産を売却するには、名義人全員の書類が必要になります。
そのため、手続きが複雑になることが多いかもしれません。
代表者が相続し、売却後に代金を分け合う方法
相続人を1人の代表者にする方法です。
1人が相続することになり、売却後に代金を分割します。(換価分割)
代表者が相続する場合、経費を差し引いた金額を相続人全員で分け合うため、以下のデメリットがあると言われています。
- 代表者の手続き負担がある
- 納税義務は代表者が負う
主に労力・納税に関してデメリットがあるものの、売却手続きが簡略化されるメリットがあると言われています。
相続した不動産を売却する手順
不動産の名義変更をおこなった後、売却する手順を紹介します。
- 名義変更
- 価格査定
- 媒介契約の締結
- 売却開始
- 買付証明書の受領
- 売買契約の締結
- 引越・残金決済
- 確定申告
相続した不動産の名義変更をしたあと、引き渡しまで6カ月ほど必要になるケースが多いようです。
それぞれの手順を説明します。
名義変更
不動産を相続するには、名義変更する必要があります。
前述のように「共有名義」もしくは「代表者」を決定します。
売却することを意識した相続では、名義変更の際に相続名義を考えておく必要があると言えます。
価格査定
相続する名義人を決定すると、不動産の価格査定をおこないます。
共有名義で相続する場合、話し合い等により価格査定をおこなう人が決定されるでしょう。
代表者が相続する場合、代表者が価格査定に挑みます。
価格査定をするには、以下の方法があります。
- 不動産会社に依頼する
- 不動産一括査定に依頼する
- 不動産鑑定士に依頼する
不動産会社に依頼するのが一般的ですが、状況に応じて検討するとよいでしょう。
媒介契約の締結
価格査定が終わると媒介契約の締結をおこないます。
媒介契約とは、不動産を買主の目に止まるように販売してもらう契約のことを言います。
価格査定を不動産会社に依頼した場合、不動産会社に依頼することができます。
不動産一括査定や不動産鑑定士に依頼していると、媒介契約を締結する不動産会社を探す必要があるかもしれません。
売却開始
媒介契約が締結すると、不動産会社が販売します。
買主が現れるまで待つことになりますが、定期的に不動産会社と連絡をとるようにしましょう。
売却する条件の見直しが必要なこともあるからです。
すぐに買主が現れるとは限らないため、定期的に不動産会社と相談するようにします。
買付証明書の受領
買主が見つかると、買付証明書を受領します。
買付証明書とは、不動産の購入希望者が売主に意思表示する書類です。
口頭で意思表示することもできますが、トラブル回避のため書類を受け取るようにしましょう。
買付証明書は「買付」や「購入申込書」と呼ばれることもあります。
売買契約の締結
買主の購入意思を確認後、売買契約の締結をおこないます。
買付証明書を受け取っただけでは、売買契約にはなりません。
売買契約を締結して、書類上の契約が完了します。
条件などを細かく決める必要があるため、書類作成は慎重におこないましょう。
引越・残金決済
売買契約が締結すると、定めた期日までに不動産を引き払う必要があります。
引っ越し準備をしたり、未払い残高があるものは決済しておきます。
売買契約に記載された期日までに引っ越しをおこなわない場合、契約違反となります。
必ず期日までに不動産を引き払う準備をおこないましょう。
確定申告
相続税が発生する人は、確定申告をおこないます。
死亡を知った日の翌日から10カ月以内に申告する必要があります。
ただし遺産総額が基礎控除額以下の場合、相続税は課税されません。
基礎控除額とは
基礎控除額とは、法定相続人の人数により変動する控除のことです。
「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」
つまり最低でも3,600万円以内の相続総額であれば、相続税は必要ありません。
基礎控除額を差し引いたあと、申告すべき相続税がある場合に確定申告します。
相続した不動産の名義を変更するには?
相続した不動産の名義を自分で変更するには、以下の手順でおこないます。
- 登録事項証明書を取得する
- 戸籍謄本を集める
- 遺産分割協議書を作成する
- 必要な書類を準備する
- 登記申請書を作成する
- 法務局で申請手続きする
登録事項証明書を取得する
登録事項証明書は、全国の法務局で取得できます。
登録事項証明書を取得する理由は、名義確認のためです。
たとえば父親から不動産を相続したものの、名義が祖父のままになっていることがあります。
その場合、祖父から父に名義変更する必要があるため、登録事項証明書で確認します。
戸籍謄本を集める
遺言書がない場合、相続人全員が不動産を相続する権利があります。
戸籍謄本を集めることで、法定相続人を把握しましょう。
遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議で、不動産を相続する人を決定します。
法定相続人全員と連絡をとり、遺産分割協議をおこない遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、後のトラブルを防ぐ意味でも作成したほうがよいでしょう。
必要な書類を準備する
相続登記に必要な書類を準備します。
不動産相続に必要な書類は9つあります。
- 残高証明書
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書もしくは遺言
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産の登記事項証明書
- 登記申請書
- 固定資産評価証明書
それぞれの説明は、以下の記事で紹介しています。
【KOBE賃貸ナビ|不動産相続で必要な9つの書類と必要な手続き】
登記申請書を作成する
不動産の名義変更は、書面で申請します。
定められた書式があるため、法務局のホームページで確認しておきましょう。
法務局で申請手続きする
法務局で申請手続きをおこないます。
登記申請は「不動産の所在地を管轄する法務局」でおこなう必要があります。
登記申請をしたとしても、その日のうちに審査が完了するわけではありません。
書類の不備がなければ1週間程度、不備があった場合は修正などが必要です。
郵送による申請も可能です。
相続した不動産を売却する際に必要な税金
相続した不動産を売却すると、3つの税金を支払う必要があります。
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 登録免許税
それぞれの金額についてまとめます。
印紙税
印紙税は、売買契約の締結にかかる税金のことです。
金額は2,000〜20,000円と言われています。
相続する不動産の価格により変動しますが、おおよその金額を把握しておくとよいでしょう。
支払時期は売買契約時です。
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産の売却で得た利益にかかる税金のことです。
金額は以下の式で計算できます。
「(不動産売却価格ー取得費用ー譲渡費用ー特別控除額)×税率(20〜39%)」
支払時期は、確定申告時です。
登録免許税
登録免許税は、登記内容の変更にかかる税金です。
金額は以下の式で計算できます。
「固定資産税評価額×0.4%」
支払時期は、登記をしたときです。
土地や建物を売ったときの税金は、国税庁のホームページにも記載されています。
相続した不動産を売却するときの特別控除
相続した不動産を売却する際、特別控除がある場合があります。
- 自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
- 相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除
それぞれ説明します。
自己居住用財産を譲渡した場合の特別控除
個人が居住用財産を売却した際、一定の要件を満たせば特別控除を受けられる可能性があります。
譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
「一定の要件」とは、以下の条件のことを言います。
- 自分が住んでいる家屋または敷地や借地権を売却する
- 家屋を取り壊している場合、譲渡契約までに土地を他利用していない
- マイホームの買い替えなどの特例適用を受けていない
- 売り手と買い手が親族でない
- 娯楽として用いられる住居ではない
- 一時的な居住を目的としていない
相続した空き家を譲渡した場合の特別控除
被相続人が1人で住んでいた建物や敷地を、相続により取得したあとに売却する場合に適用される特別控除です。
古い建築物に耐震工事をほどこすことが条件です。
一定の要件を満たす場合に、最高3,000万円まで控除できる制度です。
少なくとも以下3つの条件に当てはまる不動産でなければいけません。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
相続した不動産を売却するときの注意点
相続した不動産を売却するときの注意点を紹介します。
- 不動産会社を慎重に探す
- 共有名義の売却は全員の同意が必要
- 売却期限は3年以内が目安
不動産会社を慎重に探す
相続した不動産を売却する際、不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社を適切に選ぶことで、本記事で取り上げた税金や特例をスムーズに受けられるからです。
不動産会社には、それぞれに得意とする分野があります。
たとえば「賃貸仲介が得意」「相続不動産が得意」などです。
慎重に不動産会社を探すようにし、お困りでしたら私達にご一報ください。
共有名義の売却は全員の同意が必要
共有名義の不動産の売却は、共有者全員の同意が必要です。
同意を得る内容は2種類です。
- 売却に対する同意
- 販売価格に対する同意
特に販売価格に対する同意を得られない場合も多いため、話し合いが必要になることがあります。
売却期限は3年以内が目安
相続した不動産の売却期限は、3年以内が目安です。
本記事で取り上げたように、各種特例や手続きに期限があるためです。
期限を過ぎた手続きは、煩雑になるばかりでなく不可能になることもあります。
必ず3年以内を目安に売却手続きを進めるようにしてください。
まとめ
相続した不動産を売却するには、名義変更をする必要があります。
名義変更には申請が必要ですが、個人では難しいと感じることも多いかもしれません。
不動産会社を慎重に選ぶようにしていただき、スムーズに登記できるようにしていただければ幸いです。
個人で手続きするには、各種手続きの期限を守るようにしましょう。
期限が守られていない場合、手続きがさらに煩雑になることがあります。
各種手続きの細かな認識は難しく、助けが必要なときもあるかもしれません。
不動産会社では、わずらわしい手続きのお手伝いをさせていただいています。
相続した不動産を売却することをお考えの場合、私達もお力になれるかもしれません。
よろしければご一報いただければ幸いです。
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