【相続した賃貸物件の家賃収入】誰が受け取る?相続財産受取人を徹底解説

店長の恋水です。賃貸物件を相続すると、相続人が家賃収入を受け取ることになります。しかし遺産分割協議がスムーズに進まないなど、相続人が決定しないケースもあるでしょう。今日はその事例を含めてお話していきます。

  • 家賃収入を誰が受け取るのか
  • 相続財産になるケース・ならないケース
  • 相続人が決まらない場合
  • 準確定申告

相続財産の受取人を明確にするため解説します。

相続した賃貸物件の家賃収入は誰のもの?

相続した賃貸物件は、家賃収入の有無に関わらずいったん法定相続人全員が相続します。ただし遺言書の有無により、相続できる人が異なります。家賃収入を受け取ることができる人が異なるため、遺言書の有無にわけて説明します。

遺言書がある場合

亡くなった方が遺言書を残しているケースでは、不動産を相続できる人は遺言書に記載されている人物になります。遺産分割協議をおこなうまでもなく、遺言書に記載されたとおりに相続するのが一般的です。ただし相続する人が相続拒否をしていたり、所在不明になっている場合は法定相続人全員が相続することになります。法定相続人全員が相続した場合は、遺言書がない場合と同様です。

遺言書がない場合

亡くなった人が遺言書を残していないケースでは、不動産はひとまず法定相続人全員が相続することになります。その後、法定相続人による遺産分割協議をおこない、誰が相続するか決定します。ただし遺産分割協議による話し合いで決定しない場合、未分割のままで申告期限を迎える可能性もあります。つまり法定相続人全員で不動産を分割して相続したことになります。

生前の家賃収入は誰のもの?

家賃収入が発生する賃貸物件では、家賃収入の支払期日により異なります。生前に支払い完了となった家賃収入は、亡くなった方の相続財産です。相続財産になると遺産分割協議で話し合い、各相続人が相続します。しかし支払い完了になっていない場合は相続財産になりません。相続財産になるケースとならないケースにわけて詳しく説明します。

相続財産になる家賃

相続財産になるケースは2つです。

  • 前払い
  • 未収家賃

相続財産になるのは、家賃の支払いがあった時点が重要です。

前払い

家賃の支払いは前月末支払いが一般的です。そのため、相続開始までに支払期日を迎えていることが多いでしょう。例えば3月分の家賃が2月末に支払われるケースがあります。もし2月中に相続が発生した場合でも、生前に家賃収入を受け取ったこととみなされ相続財産になります。

未収家賃

家賃を滞納している入居者がいるケースです。相続発生時に支払われるはずの家賃は、相続財産としてみなされます。例えば3月分の家賃の支払期日が2月末の場合で、相続発生が2月10日だったとします。しかし2月10日の時点で家賃収入は未払いとなっており、未収家賃が発生しているケースです。この場合でも「当然受け取るはずの財産」としてみなされるため、相続財産になります。

相続財産にならない家賃

相続財産にならないケースを2つ紹介します。

  • 未収家賃
  • 前受家賃

未収家賃

相続財産にならないのは、支払期日を迎えていない家賃です。例えば家賃を後払いにしている場合や、相続開始後に支払われる家賃を指します。3月分の支払期日が2月末の場合でも、亡くなったのが2月中であれば相続財産になりません。

前受家賃

前受家賃とは、入居者が家賃を前払いしていることを指します。例えば先1年分の家賃を入居時に支払っているケースなどが当てはまります。相続開始の時点では収益として計上しておらず、相続発生後にする予定だった場合です。

相続した賃貸物件の家賃収入は確定申告する

賃貸物件を相続した際の家賃収入は確定申告が必要です。亡くなった人が受け取った家賃収入は「準確定申告」をおこなわなければいけません。準確定申告は「相続が発生した日から4ヶ月以内」と定められています。遺産分割協議がスムーズに進まない場合もあるかもしれません。相続人が決定していない状態で準確定申告の期日を迎える場合、相続人それぞれが確定申告をおこないます。

準確定申告とは?

準確定申告とは、相続人が被相続人の代わりに確定申告をおこなうことを指します。国税庁は以下のように定めています。

所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。

しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。以下「相続人等」といいます。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
引用:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

相続した賃貸物件の準確定申告手続き

相続した賃貸物件の準確定申告に必要な書類等をまとめます。

申告等の期限 相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
申告等の方法 準確定申告書の付表

委任状(還付金がある場合)

申告先等 所轄税務署

一般的な確定申告とは違い、申告等の期限が短めに定められているため注意が必要です。

相続人決定前に準確定申告期日を迎えたら

相続人が決定する前に準確定申告期日を迎えると、相続人それぞれが確定申告します。家賃収入も分割されて受け取ったとみなされ、取得社は確定申告しなければいけません。家賃収入は「不動産所得」として計上し、以下の計算式で求められます。

不動産所得=総収入金額-必要経費

不動産所得が20万円を超える場合に確定申告する義務が生じます。

遺産分割協議が進まない場合

遺産分割協議が進まず相続人が決定していないケースを紹介します。相続人が決定していない場合、遺産分割も賃料を他の財産と合わせておこないます。合計した財産を法定相続人で分割したとみなして準確定申告します。ただし細かな計算が必要になることが多く、専門家に依頼するのが一般的です。

まとめ

相続した賃貸物件の家賃収入を巡って相続人の間でトラブルになるケースも少なくありません。
遺言書の有無により相続人が決定する場合もあり、生前からよく話し合っておくことが大切です。
しかし突如として訪れる相続に関して、不安を感じることも多いのではないでしょうか。
専門家としてご相談をお受けしますのでご連絡ください。

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